事例インタビュー
勤怠管理ツールが10〜15分で形になった。相模原の工務店・山京建設が、AIを社内に広げた順番と、写真から作った工程表ツール

山京建設株式会社(神奈川県相模原市)代表取締役 田島明様(左)・取締役 猪俣純様(右)
神奈川県相模原市の山京建設は、注文建築が約9割を占め、設計からアフターまでを一社で手がける工務店です。独自の勤怠管理ツールを探していた同社は、ヒアリングを含めて10〜15分ほどでAIのツールが形になる様子を見せてもらい、SHO-SANとAI活用を始めました。得意な人に集中的に落とし込んでから全体へ広げる進め方を選び、猪俣様は他社の工程表の写真をAIに投げるところから、ガントチャート型の工程表ツールを自作。代表取締役の田島様と取締役の猪俣純様に、その道のりを伺いました。
- 勤怠管理ツールが、約10分のヒアリングを含めて10〜15分ほどで形になり、画面を見せてもらいました。ランニングコストがかからず、覚えれば自社でも発展させられると考えたことが、SHO-SANへの相談につながりました
- SHO-SANの社員が出向の形でオフィスに入り、一人ひとりと話しながらツールを作る進め方でした。社内への広げ方は、好きな人・得意な人に集中的に落とし込んでから、ゆっくり全体へ
- 猪俣様は、他社の現場監督に見せてもらったガントチャートの写真をAIに投げるところから、工程表ツールを自作しました。途中で設計をやり直して再構築し、次は営業・設計・積算・工務・アフターをつなぐ業務フローを目指しています
約10分のヒアリングを含む(同社談)
3月ごろにClaude Coworkで作り始め、7月ごろに作り直した(同社談)
「お客さんに見せるプレゼンの書類をかっこよくするのは、1分とか2分とかの世界でできちゃう」と田島様は話し、住宅会社ならそこだけでもとすすめています
インタビュー動画
相模原の工務店・山京建設は、どんな会社なのか。注文建築が約9割、設計からアフターまで一社で
山京建設株式会社は、神奈川県相模原市中央区に本社を置き、注文建築が約9割を占める、設計からアフターまでを一社で手がける工務店です。住宅会社のAIゼミの取材に、代表取締役の田島明様と、取締役の猪俣純様が応じました。聞き手は、SHO-SANの担当者です。
自己紹介では、同社の事業と体制が次のように紹介されました。
- 注文建築が約9割
- 不動産部があり、自社分譲を多少手がけている
- リフォーム部がある
- 設計部があり、設計からアフターまでを一元管理、一社で行う
施工は相模原を中心に、最近は横浜まで足を伸ばし、東京・神奈川で手がけています。これからどんどん伸ばしていきたいと考えている会社として紹介されました。公式サイトでは、「このエリアで1,000棟以上の住宅建築に携わってこれた」と紹介しています。商品としてTRAD-D、全館空調、愛犬家・愛猫家住宅を掲げています。
工務店がAI活用に本格的に動くきっかけは何か。勤怠管理ツールが、ヒアリングを含めて10〜15分で形になった
山京建設がAI活用に本格的に動いたきっかけは、独自の勤怠管理ツールが欲しいと考えていたところで、約10分のヒアリングを含めて10〜15分ほどでAIのツールが形になり、その画面を見せてもらったことでした。
ランニングコストがかからず、覚えれば自社でも発展させられる
山京建設は、勤怠管理をアプリで行っていましたが、もっと独自のものが欲しいと考え、よい方法を探していました。そのなかで、AIならツールが簡単に作れ、ランニングコストもかからないことを知ります。簡単にできるなら、自社でも覚えられれば、いろいろな意味でどんどん発展していける。そう考え、とりあえず相談してみようと、SHO-SANから担当者に来てもらって取り組みが始まりました。
ヒアリングを含めて10〜15分で画面に
入口は、「困っているところはありますか」という問いかけでした。山京建設が「実は勤怠管理ツールを作らなければいけない」と答え、ヒアリングをすると、「今おっしゃっていたのは、こんな感じですか」と画面を見せてもらったといいます。ヒアリングを含めて、「これこれこれ」となるまで、ほんの10〜15分ほどでした。山京建設では、こんなに簡単にすぐできてしまうことが衝撃的だったといいます。
AIはすごいという話になり、AIといえばSHO-SANだね、とお声がけしたそうです。
外部の人が社内に入って進めるAI支援は、対面とオンラインで何が違うのか。一人ひとりに声をかけられる近さ
山京建設のお二人は、Zoomや月1回の定例ミーティングでは身につきにくく、対面で一人ひとりと話しながらツールを作る形が効いたと話します。SHO-SANの社員が出向の形でオフィスに入る進め方でした。
これまでの研修やコンサルとの違い
聞き手が、社外の人間が急にオフィスに入ることへの抵抗はなかったかと尋ねると、お二人の答えはそろっていました。これまでも研修やコンサルティングは多く受けてきたものの、Zoomなどのオンラインでは全然身にならない。月1回の定期ミーティングで限られた人だけが参加し、成果を全員に報告する形では、浸透しないのが常だった。
対面なら、「この人は分かっても、この人は分からない」という場面で、その場で声をかけられます。山京建設では、SHO-SANの担当者と一人ひとりが話しながらツールを作ることが重要だったと感じています。
対面の方がイレギュラーに気づきやすい。単純にコミュニケーションの量が圧倒的に増える
指示が席の紙で届くまで、距離が縮まった
聞き手は、最初はGoogleのアンケートフォームで情報を共有していたところから、だんだん距離が近づいたと振り返ります。
普段座らせていただく席に、指示が紙に書いてあって。『これ見ておいてください』と、出社早々言われました
聞き手は、何を求められているのかをすぐ聞け、拾いやすかったと話しています。
工務店はAIに何を作ってほしいと頼んだのか。就業規則の改正をきっかけにした、勤怠・行き先管理アプリ
山京建設がAIで作ろうとしたのは、就業規則の改正に合わせた「タイムカード代わり」の勤怠アプリと、行き先や会議室の予約を一度の入力でつなげる仕組みでした。
決算7月、8月から就業規則を改正。残業代をしっかりつける方法を探していた
山京建設は決算が7月で、8月からの就業規則の改正が年末に決まりました。そこから役員会議で、残業代をしっかりつけるための方法を検討したといいます。タイムカードがよいか、LINEでの報告がよいかを考え、タイムカード代わりになるものをアプリとして作れば、何分ごとという単位でしっかり管理できる、という話になりました。そのタイミングでAIの話を聞き始め、最終的にSHO-SANに依頼しました。
一つやればつながるものを、AIでできないか
田島様は、猪俣様にSHO-SANへの依頼を頼んだときのリクエストを、次のように話します。
社員が、どこに出かけているとか、直行だ直帰だとか、打ち合わせ室を予約するとか、それぞれに入力しなきゃいけない
できるだけ簡潔に、一つやればつながるようなものを、AIだったらできるんじゃないの
最終的にはそこまでやってもらおうと考え、リクエストしたそうです。聞き手によると、最初は紙での申請から始まっており、「こうすればいいですね」「ああすればいいですね」と話しながら集約していったといいます。
ツールを入れて、ルールを決める意識が社内についた
勤怠アプリを使い始めて良かった点として、山京建設では、オンラインですべて済ませられることが挙がりました。もう一つは、出勤や直行などの扱いのルールがこれまで曖昧だったことに気づき、「この場合はこう」と定めていかなければいけないという意識が、みんなについたことです。
ルールを決める過程では、定時の18時のあとを15分からにするのか、30分からにするのかで、ランチの時間に大激論になったといいます。昼食を食べながらの話し合いがルールに反映されたことも、多かったそうです。
AIを社内に広げるには、誰から始めるのがよいのか。得意な人に集中的に落とし込んでから、全体へ
山京建設では、好きな人・得意な人に集中的に覚えてもらい、徹底的に落とし込んでから、ゆっくり社内に広めていく進め方がよいと考えています。
聞き手が、社外から人を入れてAI活用を進めたい会社が、うまくいくために意識すべきことを尋ねると、次のような答えが返ってきました。最初に言われたことでもあるといいます。
- 好きな人・得意な人に、集中的に覚えてもらう
- 苦手意識のある人、とくに年配の世代と、若い世代では、AIへの感覚の差がとても大きいことを前提にする
- 導入する人(極端にいえば部署のような単位)に徹底的に落とし込んでから、ゆっくり社内に広めていく
同社は、このくらいの進め方のほうがよいのではないか、と感じているそうです。
AIを使うと、工務店はどんな会社になれるのか。表向きは普通の工務店、裏にはシステムが整っている会社
山京建設では、表向きの仕事は変えず、裏側の事務作業やツールをAIで整え、お客様と会う時間を増やす工務店を理想としています。
今後どんな会社になりたいかを聞かれ、以前に聞いた、裏はすごいシステムがバッチリ整っている普通の工務店の話が印象的だったと答えました。表向きにやっていることは変わらないまま、裏側ではAIによる解析やツールが揃っている状態です。これまでできなかったところを、AIの力を借りてできるのではないかと思い始めている、といいます。
聞き手が、お客様と向き合うために裏側の事務作業をスマートにしていく方向を目指しているのですね、と確かめると、山京建設は、お客様に会う時間を多くしたい、裏で書類をまとめている時間が結構ある、と答えました。聞き手が出向先で見た、設計の図面を一生懸命に描いている方の作業も含め、もう少し簡略化できるようになるといい。それが早めに実現できればと話しています。
AI活用に迷う住宅会社は、何から始めればいいのか。田島社長からのメッセージ
田島社長のメッセージは、とりあえずやってみること、スタートは何でもいい、というもので、例として、CADで作ったパースをAIで見栄えよくすることが挙げられました。
とりあえずやってみることですよ。何でもいいんですよ
CADのパースは貧弱。AIに頼むだけで、ものすごくかっこよくなる
CADでパースを作るじゃないですか。それって結構、貧弱なんですよ。あんまりかっこよくないんです
そのデータをAIで『かっこよくして』と簡単にやるだけで、ものすごいかっこよくなるんですよ
そこから次々に、できることが無限に広がる
次これできるんじゃない、あれできるんじゃないって、結構無限に広がっていくような
お客さんに見せるプレゼンの書類をかっこよくするのに、1分とか2分とかの世界でできちゃうんで
聞き手は「一旦やってみる精神が大事ですね」と応じました。着色したパースは写真のような仕上がりになり、営業がお客様に持っていくだけでも差が出る、というやり取りもありました。
工務店の工程表ツールは、自作できるのか。他社のガントチャートを写真に撮って、AIに投げるところから
山京建設の猪俣様は、他社で見せてもらったガントチャートを写真に撮ってAIに投げるところから、工程表ツールを自社で作りました。取材では、その過程と、途中で設計をやり直した理由が語られました。
ChatGPTからGemini、Claudeへ。猪俣様のAIとの付き合い方
猪俣様がAIを触り始めたのは、2年ほど前のことです。最初は触った程度でしたが、メールの返信文を作る文章生成で「使えるじゃん」となり、いまはClaudeに切り替えています。ツールを作ったり、レポートを作ったりを、パワーポイントやエクセルの指示を細かく出さなくても自然にやってくれるのが、楽な理由だといいます。
最近はClaudeが多いです
こっちから指示出さなくても、自然にそういうものを作ってくれるので、非常に楽なので
Claudeに行き着くまでには、ChatGPT、Geminiを経由しました。スプレッドシートに間取りの依頼が入ったら、ボタンを押すと自分にLINEが通知される仕組みが欲しい。そう思った時期があり、ChatGPTに聞きながら試していたといいます。
ChatGPTではそういう一問一答になっちゃうじゃないですか
続いて試したGeminiは、画像で読んでくれるので、スクリーンショットを貼り付けて会話できるのが便利だったといいます。
Claudeは自分で作ってくれるんですけど、全然楽じゃん。Claudeでいいかなと、今は思っています
工程表は何種類もあって、つながっていなかった
工程表には、お客様向け、社内向け、工務向け、現場別など、さまざまな種類があります。猪俣様は、それらがつながっていないことが課題だったと話します。
連動していなかったり、つながっていなかったりというところがあって、なるべくまとめたいなというところから始まっています
それまでの工程表は、個別の物件名と日付が並んでいるだけで、どれが先になっているのかが認識しづらいものでした。そこで、基礎を作って大工さんが入って、という工程を、ガントチャートに並べ直しました。
ガントチャートは、どの会社さんでも作られているところだったんですけど、うちにはなくて
猪俣様は、他の会社でも使われているようなものを改めて作らなければ、と考え、まず一度作ってみました。
他社で見せてもらったガントチャートを、写真に撮ってAIに投げた
きっかけは、他社で現場監督をしている方がたまたま遊びに来たことでした。
ちらっと見せてもらったガントチャートがあるんですけど、『写真撮らせてください』と、写真をパシャッと撮って、投げたという感じですね
聞き手は、先にゴールを提示し、これが理想像だとAIに投げるところから始めたのですね、と確かめます。猪俣様は「そうです」と答え、そのうえで、社内で使っているスプレッドシートやExcelの情報を後から入れて、整理しながら作っていきました。
機能を足すうち、情報も表示もバラバラに。設計からやり直した
作っていく過程では、AIから次々に提案が来るため、機能を足していったといいます。その結果、つまずいたのが、情報と表示のバラバラ感でした。
機能をいろいろ追加していったんですけども、情報がバラバラになり始めて、表示もバラバラになり始めた
そこで、いったん作ったものを設計し直し、もう1回再構築して作り直しました。
Claude Coworkで始め、Claude Codeで作り直した。期間は体感で半年、再構築は約2か月
猪俣様は、3月ごろにClaude Coworkでツール作りを始めました。ところが、5時間ごとの利用制限にすぐ当たり、時間がかかったといいます。聞き手によると、SHO-SANの研修でClaude Codeを扱ったあとに、Claude Codeでの構築に移りました。7月ごろにあった、利用上限が増えるキャンペーンの期間には、「今だ、やるしかない」と、Claude Codeで作り直しました。
完成までの期間は、体感で半年ほど。Claude Codeに移ってからの再構築は、約2か月だったそうです。聞き手は、自分のアドバイスがもう少し早ければ、圧縮できたかもしれないと話しました。聞き手によると、取材の時点で、ツールの形はすでに整い、全社への展開を進める段階です。
建築会社のAI活用は、部署間の引き継ぎをどう変えるのか。営業・設計・積算・工務・アフターをつなぐ
猪俣様が次に目指すのは、営業・設計・積算・工務・アフターの各部署の業務をつなぐ業務フローを、AIの力を借りて構築することです。取材時点では、構想の段階です。
建築会社は、部署ごとにやっていることが全然違う
山京建設では、これまでいろいろなものを自由に作ってきましたが、つながっていないものが多い状況でした。何か一つのツールにしたいと言っていたものが、あるようでない状態になっていたものを、一続きにしたい、と猪俣様は話します。
各セクション、営業・設計・積算・工務・アフターというところって、建築屋さんって結構やっていることがバラバラなんですよね
営業は外回りがあり、設計は社内で描き、積算は金額を弾き、工務は現場で作るものを作る。通常、一つの会社で一つの仕事をしていると、同じものを作っていくことが多いのに対し、建築業界はバラバラな業務を一つの中でやらなければいけない、といいます。
引き継ぎの課題を、自然発生に任せず、体系化する
バラバラな業務を、一つの中でやらなきゃいけないというのが、引き継ぎみたいな課題が出てくる
各部署の業務をつないでいくものを、業務フローなり、何かまとめて体系化するものなりを、ちゃんと作らなきゃいけないな
自然発生的にできるものでももうないなという状況になってきているので、AIに力を借りて、そこを構築していかなきゃいけない
聞き手は、これまでのAIとの付き合い方を見ていると、それも数年後には形になっていそうだと感じたと話しました。SHO-SANは、研修やツール構築で培ったノウハウを、引き続き提供していくとしています。
まとめ
- 山京建設は、勤怠管理ツールがヒアリングを含めて10〜15分ほどで形になり、画面を見せてもらったことをきっかけに、AI活用に動きました。ランニングコストがかからず、覚えれば自社でも発展させられると考えたことが、SHO-SANへの相談につながりました
- SHO-SANの社員が出向の形で入り、一人ひとりと話しながらツールを作りました。広げ方は、好きな人・得意な人に集中的に落とし込んでから、ゆっくり全体へという進め方です
- 猪俣様は、他社のガントチャートの写真をAIに投げるところから工程表ツールを自作し、途中で設計をやり直して再構築しました。次は、営業・設計・積算・工務・アフターをつなぐ業務フローの構築を目指しています
表向きは普通の工務店のまま、裏側をAIで整えて、お客様と会う時間を増やす。山京建設のAI活用は、一つのツールがすぐに形になった驚きから始まっています。


