事例インタビュー
「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」。年間15棟の工務店・ハートムリビングで、社員がAIで資料を作り、アプリも社内で作り始めた

ハートムリビング株式会社(埼玉県春日部市)中山様(左)・沖様(右)
埼玉県春日部市の工務店・ハートムリビング株式会社は、取材時点で18期目を迎え、年間15棟限定で家づくりを手がけています。SHO-SANの出向支援を受けながら、事務・営業の中山様はChatGPTで住宅ローンの比較資料を作り、社内のDX・AX推進を担う沖様は社内ツールづくりを進めています。社内にはAIを使える人と使えない人がいるなか、「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」という声も上がっています。
- 事務・営業の中山様は、お客様に送る文章の添削をChatGPTに聞いてから送るようにして、誤字脱字が減ったと話します。ハートムリビングでは「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」という声もあります
- 住宅ローンを単独・収入合算・ペアで組む場合の違いをChatGPTで比較資料にまとめ、お客様への説明に使っています。来場アンケートを電子化する顧客カルテや、スマートフォンで打刻する勤怠アプリも、社内で作っている最中です
- 社内にはAIを使える人と使えない人がいて、「使いこなせるかな」という抵抗感もありました。SHO-SANの担当の方に教えてもらったという社員は「先生みたいな人が絶対いた方がいいと思います」と話し、沖様は「使ってないと損した気分に」なると話します
AIを取り入れていなかったら一つひとつの業務時間が増えていたと思う、という実感から、「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」と話しています
「AIで業務負担が軽減されたので、お客様への対応も即レスができるようになった」と話しています
単独・収入合算・ペアで組む場合の違いを、お客様がパッと見て分かる形にまとめ、打ち合わせが長引きにくくなったと話しています
インタビュー動画
埼玉県春日部市のハートムリビングは、どんな工務店なのか。18期目・年間15棟限定の会社
ハートムリビング株式会社は、埼玉県春日部市にある工務店で、取材時点で18期目、年間15棟限定で家づくりを手がけています。施工エリアは埼玉県から、最近は茨城県の一部まで広がっています。事務・営業・お子様対応を担う中山様が、会社の概要を紹介しました。
埼玉県春日部市にある工務店でして、今年で18期目に入ります。年間15棟限定でやらせていただいている工務店になります
強みは「お客様に寄り添っている」ところ。キッズルームで、夫婦が安心して打ち合わせできる
強みを聞かれると、ハートムリビングの社員はお客様に寄り添うことを挙げました。打ち合わせでも普段の対応でも大切にしていて、お子様連れで来られても、キッズルームがあるため、お子様は会社側で対応し、ご夫婦は安心して打ち合わせを進められるといいます。
お客様の多くは、Instagramを見て来る、おしゃれでこだわりの強いご夫婦
お客様は話しやすく親しみやすい方が多く、Instagramを見て来てくれる方がほとんどだといいます。雰囲気がおしゃれなご夫婦や、こだわりの強いお客様が多いそうです。
少人数の工務店で、AI導入前の社員はどんな課題と不安を抱えていたのか
ハートムリビングでは、AI導入前は一人ひとりの業務負担が大きく、お客様に送る文章ひとつにも誰かの添削が必要で、時間がかかっていました。社員の中には「仕事でAIを使うのはダメだったのかな」と思っていた人もいました。

業務負担が大きく、AIが本格的に入って軽減された
本間(SHO-SAN)がAI導入前の社内の課題を尋ねると、沖様は、AIを使うことになったタイミングで自分が入社したのは、いいタイミングだったと話しました。それ以前は一人ひとりの業務負担がかなり圧迫されている状態で、AIが本格的に取り入れられてからは、だいぶ軽減されたといいます。
文章は誰かに添削してもらってから送っていた
聞き手が「中山さんから見て」と振ると、中山様は、AIを使う前は、お客様に送る文章を誰かに添削してもらってから送っていたため、時間が取られていたと振り返りました。SHO-SANの担当者が来るようになってからの変化を、次のように話します。
AIに投げると、『その言葉が欲しかった』というものを言ってくれるので、すごい時間短縮にはなったかなと思います
「仕事でAIを使うのはダメだったのかな」と思っていた
SHO-SANの支援を受ける前のAIとの距離感を聞かれたハートムリビングの社員は、AIを仕事で使うことへのためらいを、率直に話しました。
AIに助けてもらうっていうのは、個人的にあんまり良くないのかなって、最初は思ってたんですけど
実際使ってみると、やっぱり使いやすいですし、やることの幅が広がったなって思います
社内でもAIの習熟度は「多分きっちり分かれている」
社内にはAIを使える人と使えない人がいて、その差がはっきり分かれていたといいます。レベルの低い側から見ると、使える人のレベルはとても高く見え、「使いこなせるかな」という抵抗感があったと、ハートムリビングの社員は振り返ります。AIを使って変わったことを聞かれると、AIを使うことで他の業務をしながら仕事ができ、「気づいたら頼んでたことが終わってて」、負担は軽減されたと話しました。聞き手が「並行して2つの仕事ができている状態」とまとめると、「そうです」と応じました。
工務店の社員は、ChatGPT・Gemini・Claudeをどう使い分けているのか。「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」という声も
ハートムリビングでは、社内のDX・AX推進を担う沖様がClaudeとClaude Codeを、事務・営業の中山様がChatGPTとGeminiを使い、AIごとの得意分野に応じて使い分けています。中山様はお客様に送る文章の添削をChatGPTに聞いてから送り、誤字脱字が減ったと話します。
沖様はClaudeとClaude Code、中山様はChatGPTとGemini
今いちばん使っているAIを聞かれると、沖様はClaudeと答え、Claude Codeも使っていると話しました。中山様が普段使うのは、ChatGPTとGeminiです。聞き手は、この使いこなしぶりについて次のように述べています。
存在は知ってるけどなかなか使えてないっていう方もいらっしゃる中なので、実はかなり進んでいらっしゃる感じかなと思ってて
お客様に送る文章の添削は、全部ChatGPTに聞いてから送る
メールとかお客様に送る文章の添削は、全部ChatGPTに聞いてます
確認してもらってから送るようにしているため、誤字脱字が減ったと、中山様は話します。聞き手は、一瞬でできるようになった分、作業時間がぎゅっと圧縮されるのではないか、と受けています。
「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」
聞き手が、出向という形の支援がなかったら今はどうだったかを尋ねると、ハートムリビングでは、AIを取り入れていなかったら一つひとつの業務時間が増えていたと思う、という答えがありました。例え話として、「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」と話しています。
資料づくりは、沖様に相談してAIで形にする
どんな場面でAIを使うかを聞かれると、まず資料の作成が挙がりました。「こうした方が便利だからこうしたい」といった内容を社員が沖様に相談し、沖様がAIで形にしていきます。AIにも限界があるようで、「これはいけるけど、これは時間がかかります」と言われた部分は、今でもアナログで対応しているそうです。聞き手が、AIがやるべきところは沖様が担っているのですね、と確かめると、沖様は、AIによって得意分野が分かれているので、頼まれた仕事の内容によって使い分けていく、と答えました。
引き渡し時のお客様アンケートも、沖様に頼むとパッと作ってくれる
引き渡し時のお客様アンケートは、これまでExcelやWordで一言ずつ打って作っていました。沖様にこういう内容のものを作ってほしいと頼むと、パッと作ってくれるそうです。作っている資料は、お客様にお渡しするものや社内のマニュアルが中心です。
人を増やさずに棟数を伸ばすには、何から電子化すればいいのか。手書きアンケートを顧客カルテにする
ハートムリビングは、来場したお客様に手書きしてもらうアンケートを電子化し、顧客情報を1つのアプリに集約する「電子カルテ」のような仕組みを、社内で作っている最中です。電子化によって、入力や保存の手間がなくなるかなと考えています。
聞き手が「忙しさってだいぶ変わりますよね」と話すと、ハートムリビングの社員も「変わります」と答えました。続けて聞き手は、人を増やさずに棟数を伸ばすとき、AIがどこで効いてきそうかを尋ねました。
いまは、手書きのアンケートをスキャナで取り込んでいる
来場したお客様には手書きでアンケートを書いてもらっていて、いまはそれをスキャナで取り込んでいます。これを電子化して、入力の手間と保存の手間がなくなるかなと考えています。
入力すると誕生日も自動で登録。顧客情報が1つのアプリに集まる
作っているのは電子カルテのようなもので、入力すると誕生日なども自動で登録され、顧客情報の入ったアプリにすべてが集約される仕組みです。これまでExcelなどで管理していた情報が、1つで完結するように作っているといいます。聞き手は、これを「脱コピペ地獄」と表現しました。
住宅ローンの単独・収入合算・ペアの違いを、お客様にどう説明するのか。ChatGPTで作る比較資料
ハートムリビングの中山様は、住宅ローンを単独・収入合算・ペアで組む場合の違いを、ChatGPTで比較資料にまとめました。住宅ローンの知識があまりないお客様に、パッと見て分かる形で説明するためです。
言葉だけでは伝わりにくい説明を、AIで一瞬で資料にする
聞き手が、お客様への提案でAIを使って素早く資料を作ることはあるかと尋ねると、同社の社員は、言葉だけでは伝わりづらい説明をAIに投げて一瞬で資料にしてもらい、お客様に「こういった流れになります」と説明することがあると答えました。
住宅ローンの組み方の違いを、初めて資料にした
『銀行を単独で組みます』『収入合算にします』『ペアにします』と言われたときの、何がデメリットでメリットなのかという差を、この間初めて作ってみて
他の会社を見たお客様のために、AIが情報を集めて比べるツール
ハートムリビングには、お客様が他の会社にも行ったと話したときに、その会社の特徴をすぐ調べて比べられるツールもあります。性能・価格・デザイン・中身を、AIの観点から分析してまとめるもので、インターネット上の情報を集めてくるものです。こうしたツールは、社内で必要そうな部分を吸い上げて作る形が多い、という話もありました。
勤怠管理のアプリは、工務店の社員が自分で作れるのか
ハートムリビングでは、紙で打刻している勤怠を、スマートフォンで出勤・退勤を押せるアプリに置き換えるため、社内向けの勤怠管理アプリを作っています。まだ導入前で、中山様は「後々取り入れられたら」と話します。
紙の打刻を、スマホで押せるように。事務の人が管理できる
事務を担う中山様は、「個人的にずっと作りたいって言ってる」のが社内の勤怠管理アプリだと話します。自分の仕事を見て「もう少し楽にならないかな」と感じてくれたらしく、スマートフォンで使う前提で作られています。画面はパソコン上のものですが、スマートフォンで打刻する想定です。
紙で打刻してるのをスマホで出勤とか退勤で押せるようにして、それをその事務の人が管理できるように
「時代が変わってきてますね」と聞き手は話す
聞き手は、普通の会社がデジタルで勤怠を管理しようとすると費用がかかる、という点に触れ、次のように話しました。
時代が変わってきてますね。アプリ作ろうと思ったら自分で作っちゃおうみたいな
小さい会社だから、今でも紙の打刻。集計は事務の仕事
小さい会社なのでそこまでってところで、今でも紙の打刻をしているので、それを私が見ながら集計して
これも後々取り入れられたらと、中山様は話します。
お客様向けのAI資料は、打ち合わせをどう変えるのか。ローン資料の狙いと「即レス」
ハートムリビングの中山様は、住宅ローンの比較資料を「パッと見て分かる」形にしたことで、お客様の理解が早まり、打ち合わせが長引きにくくなったと話します。AIで業務負担が減り、お客様への対応は即レスができるようになったともいいます。
住宅ローンの資料は、なぜ「パッと見て分かる」形にしたのか
ローン資料を作った狙いを聞かれた中山様は、次のように話します。
お客様が住宅ローンに関してあまり知識がないので、パッと見て分かる方がいいかなと思ったので
単独・収入合算・ペアの3種類をまとめた資料は、ChatGPTで作ったのかという聞き手の確認に、「そうです」と答えています。聞き手は、調べても情報が出てきすぎて結局どうなのか分からなくなりがちなところを、パッと分かる形で出せるのは、お客様へのホスピタリティだと評価しています。
楽をするためだけでなく、お客様のために使う
聞き手は、お客様がどうすればうまく理解できるかという点に、おもてなしとしてAIを使う姿勢を評価しました。
楽をするためにAIを使うというよりは、お客さんのために使えるようなところもあるのかなと思うんですけど
「即レス」ができるように。説明の時間も短くなった
AIを使う中で、お客様と向き合える時間や機会は増えたかと聞かれた中山様の答えです。
AIで業務負担が軽減されたので、お客様への対応も即レスができるようになったなって思います
これを使う前までは、今の資料も全部手書きでやっていたと思う、と中山様は話します。そうすると時間もかかり、お客様も理解できないことがあって、次回の打ち合わせでまたそこを引きずることが多かったそうです。今の資料を見ると理解してもらえるので、時間もだいぶ短縮になったかと思う、とのことです。聞き手が、一つひとつにかかっていた工数がだいぶぎゅっとなるのですね、とまとめると、ハートムリビングの社員は「そうですね」と応じました。
社内にAI活用を広げるには、どうすればいいのか。部門ごとのツール構想と「聞き方」の壁
社内のDX・AX推進を担う沖様は、社内の各部門の業務負担をヒアリングし、部門ごとに負担を減らすツールを作る構想を進めています。一方、中山様は「まだまだ初心者」で、AIへの聞き方が難しいと話します。
事務から営業・設計へ。部門ごとにツールを作る
今は事務メインになっているんですけど、営業とか設計とか各部門が使えるものを作っていきたいなって思ってます
聞き手は、工務店では一部署に一人ということも多く、他の部署に目を向けにくいと述べ、そのなかで他の業務の負担にどう気づいたのかを尋ねました。
一人ひとりの負担を減らしたい
余裕がないと失敗も増えますし、一人一人の負担を減らせたらなって思ってます
AIへの「聞き方」が難しい。慣れている人は簡単に聞いている
難しいのがこの聞き方、AIに。多分慣れてる人ってすごい簡単に聞いてるんですけど、私から見るとどうやって聞いたらいいんだろうみたいなところから入るので
聞き手は、聞き方はとても大事だと応じ、ハートムリビングが参加しているBuild AI Academy(BAA)に最近プロンプト集ができたと紹介しました。コピーして使えば、上手な聞き方があらかじめ備わっているため、後で実際に見せる、と話しています。
AIに踏み出せない工務店へ。社員2人からのメッセージ
AIに踏み出せない会社へのメッセージとして、ハートムリビングの社員は「先生みたいな人が絶対いた方がいいと思います」と、教えてくれる人の大切さを話し、沖様は「使ってないと損した気分に」なると話します。
「先生みたいな人が絶対いた方がいいと思います」
怖い、使い方が分からないといった理由でAIに踏み出せない会社に向けて一言を求められ、ハートムリビングの社員は、不安な会社は、自社のように出向に来てもらって一から教えてもらわないと難しいのではないか、と話しました。
実際にSHO-SANの担当の方に教えてもらって、私もあそこまで作れるようになったので、感動してます
独自で始めるよりかは、先生みたいな人が絶対いた方がいいと思います
沖様「使ってないと損した気分に」
AI取り入れたらやれることの幅も広がるし、使ってないと損した気分に、今の自分だとなるなって思って
まとめ
- 年間15棟限定のハートムリビングでは、ChatGPT・Gemini・Claudeを使い分け、文章の添削や資料づくりにAIを取り入れています。「1日かかっていたとして、それが1〜2時間ぐらいに」という声もあります
- 住宅ローンの組み方の違いを説明する比較資料、来場アンケートを電子化する顧客カルテ、スマートフォンで打刻する勤怠アプリなど、社内で必要なものを社内で作る取り組みが進んでいます。AIは楽をするためだけでなく、お客様に分かりやすく伝えるためにも使われています
- 社内にはAIを使える人と使えない人がいて、「使いこなせるかな」という抵抗感もありました。SHO-SANの担当の方に教えてもらったという社員は「先生みたいな人が絶対いた方がいいと思います」と話します。沖様は、部門ごとに負担を減らすツールを作る構想を進めています
年間15棟の工務店・ハートムリビングでは、文章の添削や住宅ローンの比較資料づくりから、勤怠アプリや顧客カルテといった社内ツールづくりまで、AIの使い道が広がっています。


