事例インタビュー
紹介8割から新規7割へ。創業60年の工務店が「待つ集客」をやめて受注を安定させるまで

有限会社 建築工房やました屋 取締役社長 山下平様(福岡県飯塚市)

有限会社 建築工房やました屋(tatta)
福岡県飯塚市の工務店・建築工房やました屋(ブランド名tatta)は、受注の8割をOB施主や協力業者からの紹介に頼っていました。紹介は途切れると止まる。それでも固定費は毎月出ていく——その不安定さを課題と捉え、SHO-SANとともにInstagramとホームページを軸にした新規集客に取り組んだ結果、新規のお客様が受注全体の7割を占めるまでに逆転しました。同社はSHO-SANが最初に取引をいただいた、創業第1号のクライアントです。
- 紹介8割・新規ほぼゼロだった受注構造が、新規7割まで反転した
- 流入の中心はInstagram。ホームページとあわせて「調べたら分かる会社」になったことで、紹介経由のお客様の質まで変わった
- YouTubeは「やらない」と提案。投資配分を1社ごとに変えることが結果につながった
取り組み前は2割
新規と紹介のバランスが反転
会長・山下要の代から続く
インタビュー動画
紹介だけに頼る工務店経営は、なぜ不安定になるのか
——まず、御社のご紹介をお願いできますか。
建築工房やました屋、代表の山下平です。1960年創業の地域密着の工務店で、飯塚市と、その近郊で成り立っています。新築からリフォーム、アフターメンテナンスまで、一生涯のお付き合いを大切にしています。
——SHO-SANとお取り組みを始める前は、どんな課題を抱えていらっしゃいましたか。
SHO-SANと出会ってから気づいたという部分は大きいのですが、それまではずっと紹介が8割でした。OBさんやオーナーさん、そのお子さんから紹介を受けていたんです。ただ、紹介は安定しないですよね。多いときは多いけれど、来ないときは来ない。でも、出ていく固定費は安定している。それはまずいなと。
紹介中心の受注は、満足度の高い家づくりの証でもあります。一方で、件数を自社でコントロールできないという弱点を併せ持ちます。固定費は毎月一定額が出ていくため、受注の波がそのまま経営の波になってしまう。同社が課題として捉えたのは、この非対称性でした。
できるだけ平べったくしたいなと思って。新規のお客さんについては、それまで全くやっていなかったんですよ。来る人が多かったので、こちらから追うということをしていなかったんですね。
「必ず儲けさせます」の一言から始まった、第1号クライアントとの取り組み
建築工房やました屋は、SHO-SANが最初に取引をいただいた会社です。実績も知名度もなかった当時、なぜ発注を決めていただけたのか。その理由を伺いました。
殺し文句が一言あってですね。「必ず山下を儲けさせます」。これに力強く本気を感じましたね。言葉は多くなかったんですけど、本気で感じるような伝え方をする人には、なかなか出会わない。
高谷社長は正直でしたよね。「こういったことは時間がかかりますよ、即効性はないですよ」と言われて。その言葉が先にあったので、ずっと変わらずに投資を続けてこられました。
WEB集客は、短期で結果が出るものではありません。成果が出るまでの期間を先に共有しておくことが、長い取り組みを続けるための前提になります。
工務店がInstagramで新規集客するには、何から始めればいいのか
同社が力を入れたのは、SNS、とくにInstagramでした。地域の生活者がどこで情報を得ているかを見極めた上での判断です。
このあたりではInstagramを見ている人が圧倒的に多いですし、入ってくるのはInstagramからがほとんどです。僕らが思いつかないような企画や見せ方も教えてくれて、アイデアを出してくれる。そこはやっぱりSHO-SANさんのおかげだなと思っています。
結果として、受注構造そのものが入れ替わりました。
今はもう7割くらいが新規ですね。それまではほとんど新規がなかったけれど、今は7割。以前は8割が紹介でしたから、比率が真逆になりました。
さらに、変化は新規の件数だけにとどまりませんでした。紹介で来られるお客様の「質」まで変わったといいます。
昔の紹介と今の紹介は、内容がだいぶ変わりました。一時期は相見積もり前提の紹介が多かったんです。でも今は、SNSやホームページで全部オープンに出しているので、「ここだったら大丈夫だね」という状態で問い合わせが来る。紹介の方も、あらかじめ分かってくださっている。
工務店はYouTubeをやるべきか。「やらない」という提案があった理由
取り組みの中で印象的だったこととして、山下社長が挙げたのは「やらなかったこと」でした。
YouTubeは絶対にやらなかったですね。他の会社はみんなYouTubeをやっていて、動画で施工を見せているところもあったけれど、「山下さんはやらなくていいです」と言われて、忠実に守っています。
会社によって最適な投資配分は異なります。すでにInstagramから集客できている状態で、制作の手間も時間もかかるYouTubeに広げることは、必ずしも成果につながりません。何をやるかと同じだけ、何をやらないかを決めることが投資効率を左右します。
うちの会社のことをよく分かってくれている。だからそれがありがたいですよね。
紹介と新規、工務店はどちらを優先すべきか
新規7割まで振り切った同社は今、意図的にバランスを戻そうとしています。
真逆になりすぎたので、基本に戻ろうと思っています。5対5がいいなと。どちらも手を抜けない状態なんです。新規が欲しいときに紹介をおろそかにしたり、紹介が欲しいときに新規をおろそかにしたりする。これがまずい。
新規集客に取り組む目的は、紹介を置き換えることではありません。どちらの経路も動かせる状態をつくり、経営として選べるようにすることにあります。
最後に、同じように「紹介中心で、集客はこれから」という工務店へのメッセージを伺いました。
集客に関しては、紹介も結局は集客だなと思います。だからそれを分けて考えないで、実情を全部話すこと。ただ、情報をもらうにも、こちらがちゃんと情報を出しておかないと出てこないですよね。だから包み隠さず出したほうがいい。
それは家づくりと一緒かもしれません。お客様がどんな家を建てたいかを開示してくださらないと、いい家は建てられませんから。
山下社長にとって、SHO-SANはどんな存在か
一番は、会社の未来を一緒に作るパートナー。集客がないことには仕事にならないですから、それは未来なので。うちは広報が一人なので、本当に信頼できる広報部ですね。あとは、時代の変化を一緒に乗り越えてくれる。同じ船に乗っている感じがすごくします。
取り組みの期間中、担当は一貫して変わっていません。その点も評価いただきました。
以前いろいろなマーケティング会社と付き合いましたが、最初は社長が出てきても、規模が大きくなるとすぐ他のスタッフに代わってしまう。理念がちゃんと浸透していないんだろうなと思っていました。時代によって、その芯を保つために変化していったなというのはすごく感じます。変えないために変えていく、という感じですね。
この事例のまとめ
- 紹介中心の受注は満足度の裏返しである一方、件数を自社でコントロールできない。固定費は一定なので、受注の波がそのまま経営の波になる
- 商圏の生活者がどこで情報を得ているかを見極め、チャネルを絞る。やらないチャネルを決めることが投資効率を左右する
- 新規集客はホームページやSNSで自社を開示することでもあるため、紹介で来られるお客様の理解度・検討段階まで引き上がる
新規と紹介は対立するものではなく、どちらも動かせる状態をつくることが、工務店の受注を安定させます。

